「どんな挫折もプラスに解釈して、挑戦しないと未来は良くも悪くもならない」
そう語ってくれたのは、成城大学に通う大学4年生の呉屋妃香(ごやひみか)さん。
沖縄出身でありながらも、高校2年生の春に上京し、通信制高校に通いながら自分のやりたいことに向き合うという、特殊な経歴の持ち主。彼女は1年間の長期インターンを経験しており、インターン先の企業のイベントで内定先と出会ったという。
島国育ちの彼女が高校を中退してまで上京し、長期インターンにかかわるまでのストーリーを紐解いていく。
「幼いころにいろんな経験を」母がきっかけで出会ったクラシックバレエ
「キラキラした衣装を着て、かわいい子たちばっかいて、舞台で踊れる」
自分が幼いころに経験できなかったものの多さから、娘にはいろんな経験をさせてあげたいと考えていたお母さん。「続けるものだけ続けたらいいよ」と言いながら、いろんな習い事を経験させてくれたという。
その中でも一番はじめに出会って、惹かれて、10年以上熱中していたものが「クラシックバレエ」。
3歳の頃にお母さんに手を引かれて向かったクラシックバレエの教室。そこに拡がるキラキラした世界。
「自分の内側を表現できるのがすごく楽しくて。」
言葉を持たず、体の動きや表情で想いや感情を伝えるのが、クラシックバレエ。幼いながらに内に秘めていた自分を表現できるクラシックバレエに、呉屋さんは魅せられていった。
「衣装もつけるけど、審査される立ち位置で他の教室の子と比べられるのが合わなかった」
3歳から高校1年生まで続けたクラシックバレエだが、呉屋さんのモチベーションは年に1回の発表会。誰かと比較されるわけではなく、ただ、みんなと一緒に一つの舞台をつくるのが発表会。キラキラした衣装も重要ではありながら、「誰かと成し遂げる」という部分に強く惹かれていたのではないだろうか。
まさかの骨折、10年以上追いかけたクラシックバレエと決別のとき
3歳から始めて10年以上続けていたクラシックバレエ。人生の相方のように、ずっと一緒に生きてきたものから離れなければならなくなった高校1年生。まさかの「骨折」。
「生きがいだったクラシックバレエとダンスができなくなった」
楽しみにしていた文化祭でのダンスの発表や、クラシックバレエの発表会には出られない。自分も一緒にいるはずだった場所でダンスを披露する友人の姿と比較する日々。自分が何をしたいのかもわからず、モチベーションが下がり続けていた。
それでも、家族が愛してくれるから自分自身のことを嫌いになることはなかった。ただ、ずっと続けていたものを失い、改めて「自分が何をしたいのか」に向き合う日々。
島国の文化に抱いていた違和感「自分も東京に行きたい」
クラシックバレエとダンスを失い、「自分のやりたいこと」を問い続けていた高校1年生の呉屋さん。そんな彼女に訪れたひとつの転換期。
それはお母さんの「東京で仕事がしたい」という発言。
何がしたいのか見えているわけでもなかった。東京でやりたいことがあるかもわからなかった。このまま沖縄の高校にいれば、指定校推薦で大学に進学できる。
それでも挑戦したい。「神様から与えられたもの」だと思い、呉屋さんは沖縄の高校を中退して、東京の高校へ進学。
「ある意味誰も干渉しない環境が生きやすかった」
沖縄にいたころは、誰かに敷かれたレールを感じ、「みんな同じであること」を強いられている感覚があったという。ただ、東京に来てその価値観は変わった。
挑戦して失敗してもいい。もしかしたらクラシックバレエに魅せられたのも、普段言葉じゃ表現できない感情を、バレエだったら表現できたからなのかもしれない。ただ東京では、言葉にしてもいいし実際行動してもいい。この環境が呉屋さんの求めていた環境だったのではないだろうか。
大きな経験をしていないコロナの2年間
東京で進学した高校と同じように、自由に学べる学校がいい、と思っていた受験期に先生に勧められたのが今通っている成城大学だったという。そんなに広くもないキャンバスと干渉されない環境。緑の多いキャンバス。オープンキャンパスを経て、「ここ以外進学しない」と決意。
しかし、受験が終わり大学に進学するときに襲ってきた「新型コロナウイルス」。進学後はサークルやゼミなど、大学のなかでいろんな挑戦や経験をしたいと考えていた呉屋さんだったが、それは叶わない日々が続いたのだった。
たまたま成城大学に通うことになっていた高校時代の同級生と一緒に所属したのが「広告研究会」、この大学で「ミスターコン・ミスコン」を運営する部活動だった。
後期で登校が可能になった時期があり、11月のミスターコン・ミスコンに向けて1か月で準備する毎日。初のオンライン開催。加えて、知らない人ばかりの環境。怒涛の毎日を送っていた。
ただ、それが楽しかった。半年間感じることのできなかった「大学生っぽい」というのを呉屋さんながらに感じていた。
他大の就活生が言葉にする「長期インターン」
コロナで対面が可能になったり、完全オンラインになったりを繰り返しながら過ごしていた大学生活。大学の友達とのかかわりは少ないなかで、3年生の春からはじめた就職活動。
高校生の頃に求めていた大学時代に得られる経験やスキル。でも蓋を開けてみれば、地元の友達と多くの時間を過ごす2年間。
「ガクチカもあんまりない、大学生として土台をつくることがうまくできていなかったでも、今からサークル長になるとか、バイトリーダーになるとかは現実的じゃなくて。」
呉屋さんが目を向けたのが、他の大学の就活生が口にする「長期インターン」。
Wantedlyなどの企業とのマッチングサイトを使ってインターン先を探していたが、自分の中で「働いてみたい」という企業は見つからず。話を聞いてみるものの、「合わないなぁ」と断ることも何度か。
インターンの求人サイトじゃ、結局何をするのか、何を得られるのかがわかりづらく、直接サイトを検索していた時のこと。目にとまったのがインターン先である株式会社リアライブのHPだった。
業務としては、株式会社リアライブが行っている就活生向けに「ジョブトラ」というイベントに向けた、就活生へのセールスマーケティング。経験やスキルも身につくし、就活生の実態も知れるという観点から、呉屋さんはここでのインターンを選択した。
内定先との出会いは商材を理解したいと参加したインターン先のイベント
「等身大の自分でイベントを訴求できるようになった」
インターン先では自分と同じ24卒に対して、テレアポをし続けていた呉屋さん。
「何するんですか?」「意味ありますか?」と聞かれることも多かったという。実際自分が経験したこともない商材に関して自信をもって話すこともできない日々が続いていた。
「商材を理解するというのも踏まえて、ジョブトラに自分が24卒で参加してみた」
はじめは商材理解と自分の現状を把握するために参加していたが、このイベントではじめてであった企業から内定をもらった。現在ではその企業様へ内定承諾し、入社を控えている。
実際に選考を受けて内定をもらい、自分が届けていたサービスの価値を改めて痛感することになったのがこの時だったという。
自分が価値を体感したからこそ伝えられるものがあり、持てる自信が存在する。自分目線でしか話せなかったテレアポも、相手の視点で話せるように変化していった。それは確実に、自分の中で商材の価値が理解できて、解決できる課題が明確になったからだろう。
今は部署が変わり、イベントに参加した大学生と企業との連絡をサポートしている。文章で伝える業務も出てきて、相手の文章からそのひとがもっている想いや考えを引き出すことや、自分の想いを正しく伝えられる文章を書くことに苦戦しながらも、目の前の誰かのために行動し続けている。
より相手視点に立って、そのひとの課題を解決できる提案をするために、呉屋さんは日々進んでいる。
挫折をプラスにとらえられる生き方を続けていきたい
「どんなに挫折をしてもそこから行動しないとどうなるかはわからない。」
10年以上続けてきたクラシックバレエと一度の骨折で離れることになった呉屋さん。ただその挫折すらも経験に変えて、自分の人生を切り拓いていく強さをこの時に獲得したのではないだろうか。
挫折を挫折のままで終わらせないために重要なのは、自分がその経験をどう定義づけるのか。「失った」と考えることもできれば「新しい道が拡がった」と考えることもできる。あくまでも、すべて自分次第。
「どんなことが起きても自分の解釈をプラスに変えて行動していくことを大事にしたい」
呉屋さんが大事にしているのは、「続けたらできる」という考え方。失敗もするし挫折もする。でも、やめなければ、PDCAを回し続けたら成功すると信じて動き続ける。
そのために、まずは行動するし、わからないものは聞いて行動に移す。夢を「子どもたちが成功体験を積める親子関係を拡げること」と語る呉屋さんは、これからもその自分を信じて動き続けるのだろう。
気になるなら、まずは話を聞いてみるところから
最後に、長期インターンに少しでも興味がある人に向けてメッセージをいただいた。
「長期インターンは難しくないです。やりたいけどわからないとか思われがちだけどむずかしくない。自分に合った企業はいくらでもあります。まずはお話を聞いてみる機会を得ることが大事だと思うので、応募してみてほしい。」
実際に呉屋さんはWantedlyで出会った2社に応募して面談をしたが、自分がやりたい業務と違うことがわかり、断っている。「話を聞いたら絶対やらないといけない」と思うかもしれないが、そんなことはないのではないだろうか。
まずは話を聞いてみるところから。求人に応募してみるところから。
「(長期インターンは)やったら自分の可能性とかいくらでも広がるので、自分の適性の企業や仕事も絶対見つけられるので。それは将来お仕事を決めるうえで価値があることなので、ぜひ挑戦してみてほしい。」
自分に何ができるかわからない、長期インターンってそもそもなにかわからない。そんな風に不安になる人がいたら、まずは話を聞いてみるところからはじめてもいいのではないだろうか。きっと、何も経験しなかったら見えないものが、経験をすることで明確になっていくだろう。
まず一歩踏み出して、自分の可能性を拡げてみてはいかがだろうか。