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肥後橋優斗×ニューインデックス株式会社【長期インターン体験談】

113社にお祈りされた。

2022年卒学生の平均エントリー数は29.74社(就職白書2022年より)

平均の約4倍の数の企業にエントリーし、全ての会社とご縁がなかった時、あなたならどうするか?

周りの学生よりも頑張ってきたはずなのに、なぜ。

絶望し就職活動を辞め、自分のやりたいことを見つけ、起業に踏み出した時、

役に立ったのは7社で経験した長期インターンの経験だった。

"Connecting the dots.”

意味がないように思える過去の経験も全てが繋がっている。

今、それを実感している起業家であり立教大学の学生でもある肥後橋優斗さんに話を聞いた。

4人家族の長男で、姉がいる。

幼い頃からやんちゃな性格で、吹奏楽で金管楽器を吹いていた。

勉強は嫌いだったが、THE教育ママな母親にはよく怒られて家から追い出されていた。

中学校では「ドラムがやりたい!」という想いから、吹奏楽部でパーカッションを担当した。

未経験で始めたドラムに苦戦したが、練習の成果を感じられることが楽しかった。

また、吹奏楽部は学校行事の際に全校生徒の前で演奏する機会も多く、

「見たよ!」という声が励みになり、引退まで続けた。

勉強は学年でもトップレベル。

塾にも通い、立教新座高校に進学を決める。

高校に入り、バスケ部へ入部。

毎日20時まで練習に明け暮れた。

受験の時期になり外部進学も考えたが、

そのまま内部進学で立教大学異文化コミュニケーション学科に入学した。

1年生ではバンドサークルとバスケサークルへ入部。

サークル活動に励み、オールでカラオケなど、大学生らしい大学生活を謳歌した。

2年生になると同時にコロナ禍に突入。

大学は全てオンライン授業に切り替わった。

この時期のことを肥後橋さんは「クソみたいな大学生活」だったという。

家で漫然とオンライン授業を受けるだけの日々。

通学できていた頃は、授業の合間に友人と話したり、ランチをしたり…

大学へ行く意味は、授業以外にもたくさんあった。

しかし、オンライン授業ではパソコンに向かうだけの日々となり、

大学生活の醍醐味を全く味わえなくなってしまった。

留学必須の学科だったにも関わらず、コロナ禍で留学は中止、

それに加えて飲食店のアルバイトもコロナ禍でシフトに入れずクビに。

肥後橋さんは、日々の目的を失っていた。



暇である…そして暇な時間は不安を呼び込む。

コロナがどうなるのか分からない中でも時間だけは無常にもすぎていく。

就職活動で「学生時代に力を入れたことなんですか?」

という質問に答える時のエピソードに必要な留学も、サークルも、アルバイト、友人と遊ぶ事もできない。

八方塞がりの中、「暇だからやってみるか!」とインターンに参加した。

インターンへの挑戦

営業職

最初は「渋谷スクランブルスクエアで働きたい!」

というミーハーな気持ちから、飲食店の求人広告の営業に挑戦した。

が、コロナ禍で飲食店は求人どころか営業時間を短縮していた時期だったため、

毎日毎日テレアポしても断られ続ける日々に辟易としていた。

「営業ってこんなものか…」と思いながら続けていた時、

営業先で「もっと営業の練習してから来い!!」と怒鳴られて、辞めようと決心する。

「今考えれば、お客様の時間を頂いているのに、価値のある提案をできなかったな…」と肥後橋さんは振り返るが、

この時の苦い経験が、起業した今に活きている。

クリエイティブ職

「自分に営業は合わないな…」と思いながらSNSをみている時「トプシュー」を運営するサスケさんのInstagramのストーリーで、

「インターン募集」を発見。思い切って応募のDMをしてみたところ、とんとん拍子で話が進んだ。



入社すると最初にSNSのフィード投稿の制作を任された。

そこで肥後橋さんの才能が花ひらく。

フィードのデザインを考えるのが楽しく、周囲からの評判も上々。

「自分の得意分野ってこっちかも?」と思っていたところに

ショート動画も作ってみないか?という話が持ち上がった。



動画編集は未経験だったが、せっかく与えられた機会をモノにしたい!

と独学で編集を覚えた。

誰も教えてくれないけど、受け身でいるよりもどんどん自分のスキルを増やしたい。

そう思いながら勉強し、編集ができるようになると、

次は撮影もやってみたいと思うようになった。



次のインターン先はニューインデックス株式会社

「社長の鞄持ち」というサービスの撮影を担当した。

初めて撮影したYouTubeの評判が良く、ますますやる気になり、自分のスキルにも自信をつけていった。

    ニューインデックス社の津田社長と

スキル以外にも、このインターンで得られた経験は大きい。

社長を近くで見ることで、リアルな現場での仕事の回し方や、仕事の取り方を勉強できた。

また、社長と一緒に会食に参加することで、名刺交換のやり方や、飲み会での若手の作法を教わった。

インターンの求人票に載っている「業務」以外にも、

誰も教えてはくれないが、実際に現場で必要なことを知る機会を得た。

どれも就職活動で説明会に参加するだけでは知り得ないことばかりだった。

業務内容よりも、どういった経験ができたか

他にもデザイン関係のインターンを経験し最終的に7社でインターンをした。

なぜ、7社もインターンをしたのだろう?

「隣の芝が青く見えていたからですかね…」という肥後橋さん。

ルーティンワークが苦手だったこともあり

自分自身を成長させたくて入社したが

業務に慣れてくると日々の業務はルーティンになり、成長しているのかわからなくなる。



そうなってくると「あっちの企業の方がもっと面白い経験ができるかも?」と、

そんな気がしてインターンを同時並行したり、

半年くらいで辞めたりを繰り返していた。

しかし、「様々な会社をインターンという形で経験できるのは学生の特権だ」と肥後橋さんはいう。

確かに、社会人になってから7社を経験することはなかなか難しい。



また、7社でインターンをしたことで、

スタートアップはこんな感じ、

中小企業はこんな感じ、

メガベンチャーはこんな感じ。

と様々な会社のカラーを体感すること同時に、

「自分にはどんな会社が合うのか」ということが掴めてきた。



他にも、オンラインで在宅ワークがいいのか、

対面で仕事をする方がいいのかなど、

自分が理想とする働き方を知ることができた。

この7社での経験があったからこそ、さまざまな会社の仕組みが知ることができ、

起業した今、その経験がとても役立っている。

113社からのお見送り

3年生の夏から就職活動が始まった。

希望するのは、メガベンチャー。

これまで遊ばずにインターンを頑張ってきたという気概もあり、

希望の業界にいけるだろうという自信もあった。



とにかく最初は先輩に勧められるがままに、業界を絞らずエントリーした。

しかし、書類は通るが面接がうまくいかない。

インターンの経験を話したらいいのでは?

と思うが、興味が赴くままにインターンに参加し、

成果にこだわってこなかったことが裏目に出た。

経験値は圧倒的にあるが、面接でインターンでの成果を深堀されると中々出てこない。



ここまで、人並み以上に頑張ってきた。

インターンにも就活系のイベントにも参加し貪欲に活動してきた。

その中でスキルや知識を積み上げてきたはずなのに何がダメだったのか?と悔しかった。

自分に存在価値がないとすら思い、絶望していた頃に、

株式会社ZENKIGENのイベントに参加する。

欲望に従え

このイベントは普段参加している就活イベントとは一味違った。

その中で印象に残っている言葉がある。

欲望に従え」と「努力は夢中に勝てない」だ。

この時、うまくいかない就職活動を嫌々続けていた肥後橋さんは雷に打たれた。

「自分の欲望はなんだろう?本当にやりたいことはなんだろう?」

と自問自答を繰り返す中で「カメラを仕事にしたい」と思うようになる。



その後カメラに完全に舵を切った。

就職活動を辞め、カメラとひたすら向き合う日々。

ポートレート撮影や動画編集の仕事を受けながら、

どうしたらカメラで食べていけるようになるのか模索していた。

そんな中で、就活生の時に一度だけ利用した「社長メシ」というサービスで、

株式会社アイスタンダードの河崎さんと出会った。

その河崎さんから連絡があり、社長の密着動画の撮影を依頼された。

社長メシで会った際に、カメラが好きなこと、撮影から編集までできることを話していたからだ。



密着動画の撮影の合間に、「いつか会社を作りたい」とぽろっと話すと、

河崎社長から「誕生日に会社作れば?」と言われた。

今まで、なんとなくカメラを仕事にしたいと思い、いつか…と思っていた「いつか」が現実的になった瞬間だった。

誕生日まであと1ヶ月と3日。

1ヶ月以上あれば起業の準備はできるんじゃないか?

と思った瞬間、ワクワクした気持ちが膨らみ、起業を決意した。



しかし、なぜ起業に踏み切れたのか?

少々簡単に踏切すぎではないのか?

そう質問をぶつけてみると、こんな答えが返ってきた。

「起業できたのは、113社に落ちたという事実があったからです。

僕はもう就職活動じゃないんだと思いました。

大きな挫折があったからこそ、起業というアクションを取れました。」

与えられる側から与える側へ

2022年8月29日コエロ合同会社を起業。

「若者の可能性を拡げる」をビジョンに掲げている。

今の日本は斜陽化が進み、閉塞感が広がっている。

低い雲が立ち込めるように、手詰まり感がある社会の中で、

今自分に価値がないと思っているZ世代を、助けられるようになりたい、という想いがこのビジョンに込められている。



ビジョン達成のための一歩めがYouTubeだ。

これからの日本を盛り上げていくのは間違いなく、Z世代だ。

今奮闘している学生起業家へのインタビューを行い、発信していくことで

「起業」という選択肢をより身近に感じてもらいたいと考えている。



1年前は肥後橋さん自身にとっても、学生起業家は身近にはおらず、

とても遠い存在で、まるで絵空事だった。

しかし実際に起業してみると、学生で起業している人も大勢いることがわかった。

知らなかったから絵空事のように思っていたが、

知ったら意外と飛び込めるということを実感している。

このチャンネルを通して、起業を迷っている学生にきっかけを与えたいとも考えている。



YouTube以外にも、まだ収益化ができていない周囲の映像クリエイターへ仕事を依頼するなど、自分だけではなく周囲を巻き込みながら仕事を進めている。

今まで学び、知識を与えられる側だった肥後橋さんは、

段々と与える側へと変化していっている。

経験だけでは意味がない

後輩へのメッセージはありますか?と聞くと、

百戦錬磨の肥後橋さんらしい、具体的な答えが返ってきた。

「就職活動をする際、企業を選ぶ基準となるのが長期インターンの経験だから、

まずは一社、インターンに挑戦してみたら?」

と言う。

ただ、長期インターンの選び方としていくつかポイントがあるという。

まず一つ目。学生を安い人件費と捉えている企業もあるということを知識として知っておく。



二つ目。可能な限り、志望するインターン先の卒業生に一度話を聞き、

どんなことができるのか、逆にできないことは何かを明確にする。



三つ目。ニューインデックス社での経験が、現在とても役に立っていることもあり、

「オンラインでできることには限りがある」と肥後橋さんは考えている。

だからこそ、対面のリアルなコミュニケーションで、様々な経験を積める会社を選ぶことを勧めている。



最後に「片手間でインターンをやると僕のパターンになるよ。」と笑いながら言う。

やってはみたけど何も成果を得られず、113社に落ちたからこそ、後輩たちに同じ轍を踏んでほしくない。

「やるなら死ぬ気でやったほうがチャンスは増えるよ。」

重みのある一言だ。



インターンをしたからいいだろう。

ではなく、

インターンをして、そこで何を得られるか

を意識して行動して欲しい。

選び方は慎重であるべきだが、まず一社挑戦してみることで、自分の適性を知るきっかけが得られるはずだ。

connecting the dots

結局起業したんだし、インターンの経験は必要だったのか?

と感想を持つ人もいるかもしれない。



しかし、肥後橋さんは「全ての経験が今に繋がっている」と感じている。

サークルで同年代と沢山遊んだことでお酒の場での立ち振る舞いを覚えた。

インターンで営業に挑戦してみたことで、自分の向き不向きを知ることができた。

7社もインターンした時の人脈が、起業した今、仕事の受注に繋がっている。

バラバラに見えた点と点が、

今、段々と線で繋りはじめた。



きっとこれからも、「これは必要なのか?」

と思うことも、

「無駄だった…」

と思うこともあるだろう。

でも、全ての経験は自分の糧となり、血肉になる。



今、こんなことやってて将来のためになるのかな?意味があるのかな?

と思う学生もいるだろう。

けど、そこで歩みを止めないでほしい。

点が線になるその日まで、挑戦し続けていこう。