「やってみる?と言われたら、やります!と即答してしまうんです。好奇心でいっぱいになっちゃって。」
天真爛漫に話す彼女は、冨岡 姫菜(とみおか ひな)さん。
國學院大學 経済学部 経済学科の3年生だ。
誰もが親しみやすい雰囲気と、物腰の柔らかさ。人と話すことが大好きだという。
冨岡さんは、長期インターンを含む2社の活動を終え、現在は大学に通いながら、就職活動にアルバイトと、忙しい日々を送っている。
加えて、本サイトであるINTERN BASEのメンバーとしても活動中だ。
2022年6月から翌年3月までの10か月間、株式会社SEKAISHAで長期インターンをされた冨岡さん。
自社事業である「教育事業」と、「※CVC事業」を展開する、キャリアと自己肯定感を育む企業だ。
※CVC(Corporate Venture Capital・コーポレートベンチャーキャピタル)事業
事業会社が、自己資金で未来あるベンチャー企業に出資・支援を行う事業。
その中で冨岡さんは、CVC事業内の「SNS」のコンテンツ作成から、その売上の推移・PV数(ページの閲覧数)分析など、幅広い業務を受け持っていた。
一体、どのようにして長期インターン先と出会ったのか。
そこで何を学び、何を考え、今は、どんな将来を見据えているのか。
今回は、冨岡さんの小学生時代の特別な経験から、長期インターン先に出会うまでに至った経緯、また自分がやりたい事をみつけるためにしてきた行動と、結果。その人生を深堀りしていく。
受け継いだ「最強の母マインド」
冨岡さんは千葉県浦安市で生まれ育った。
「とにかく母は明るくてポジティブでした。とにかくやってみなよ!というタイプで。私はその母マインドが刷り込まれていると思うんです。」
幼いころから、明るさと楽観的な性格を母から十分に受け継いだ冨岡さんは、小学3年生のころから「キッズモデル」として活動を始めた。
家族に応援されながらの「モデル」経験
「キッズファッション雑誌を読んで『絶対なりたい!』と思って、毎月応募したんです。『やりたい!』と思ったことは全力で応援してくれる家族だったので、とてもありがたかったです。」
母親に応募写真を撮ってもらったり、父親にオーディション会場へ送迎してもらったり。
家族が団結して夢を応援してくれたのだ。
その後、努力が実り、ブランドモデルにスカウト。
5年生から雑誌でキッズモデルとして活動することになった。
有名雑誌のモデルだけあって、冨岡さんの名は学校などでも広まった。
輝かしい世界だが、有名になり辛いことなどはなかったのだろうか。
「お仕事はとっても楽しかったです。『人前に立ったり、話したりする度胸』や『自分を表現する力』が身に付いたなと思います。」
「よくドラマであるような、上履きに画鋲を入れられたり、学校に貼ってあるクラスメイトとの写真に、私の顔にだけ穴を開けられたり。ネットで叩かれたこともありました。でも全然気にしなかったんですよね。きっとそれも母マインドのおかげだと思います。言われているうちが華よ!なんてよく言われていました。母がとにかく明るくいてくれたから、自分も大したことないと思えていたんでしょうね。」
強い心とポジティブさ、そして行動力のある彼女の陰には、いつも大きな懐で支えてくれる母の存在があったのだ。
勉強・部活に全力投球した中高時代
中学校の3年間全てで学年生徒会長をしていたという冨岡さん。
堅苦しくない、楽しい雰囲気を作りたかったから、立候補したそうだ。
人前に出ることにも躊躇がなかったので「やりたいことはとにかくやってみる」精神で挑めたという。
キッズモデルの経験から「度胸」も備わり、ますます積極的になっていく冨岡さん。
モデルのお仕事は続けていたのだろうか。
「モデルは中2ですっぱりと終えました。やりたいことを全部やれて大満足だったので。さ、高校受験がんばろう!とすぐに切り替えました。」
勉強に関しても手を抜くことはしなかったのは、またもや母の影響も大きいと冨岡さんは語る。
「母は勉強に関してだけ、とても厳しい人でした。勉強をしないと、大好きな本やゲームを取り上げると言われ、必死に頑張っていた記憶があります。」
「でも、きちんと理由を話してくれたので、納得して勉強できたんです。例えば、学校の勉強を怠らなければ、この高校への推薦がとれるよ、などと言ってくれて。高校の推薦枠も視野に入れながら、塾に通って受験勉強をしていました。」
その後、無事に推薦をもらうことができ、大学の付属高校へ進学。
冨岡さんはダンス部の副部長となり、皆を取りまとめる立場として思い切り部活にうちこんだ。
また、大会にも積極的に出場し、最終的には「関東3位で全国大会出場」という素晴らしい結果を残した。
人との出会いで感じた「やってみる精神」の絶大な効果
コロナ禍で学生生活の不安もあるなか、希望に満ちて大学に入学した冨岡さん。
現在までの3年間、どのような大学生活を送ってきたのだろうか。
「やりたいこと」に飛び込み続けた大学生活
大学入学からすぐの5月。冨岡さんは、学内の「学生委員会」に所属した。
「高校生の時に行った大学のオープンキャンパスで、誘導や説明を行う学生スタッフさんを見て、『あ、これやりたい』と思ったんです。理由は単純で、こういう活動ができれば、充実した大学生活が送れるかなと思って。」
ここでもまた「やりたい」気持ちに素直な冨岡さん。学生委員会の仕事は、ゼミの説明会や高校生向けのオープンキャンパスの企画・運営など、イベントをとりまとめるものであった。
学生委員会での活動をしてしばらく経った頃、委員会の先輩からある話を持ち掛けられたという。
「『院友経済会』の学生スタッフ代表にならないかと、私を推薦してくださったんです。」
「院友経済会」とは、國學院大學経済学部卒業生の親睦団体であり、卒業生向けのイベントを開催する組織のこと。学生スタッフは1名と決まっているのだが、その1名に選ばれたというのだ。
この誘いにも、冨岡さんはすぐに快諾した。学内のみならず、学外へと活動の場を広げていくことで、幅広い年齢層や様々な職種の人との新たな関わりが増えたことが新鮮だった。
INTERN BASEとの出会い
「院友経済会のイベントで、タニタさん(谷中 駿太さん)と知り合ったんです。
就職への不安など、世間話をしている時、ちょうどできたばかりのINTERN BASEの存在を教えてもらいました。」
大学入学当初から、長期インターンに興味があったという冨岡さん。
周りの先輩や友人が、就職活動の大変さや長期インターンの話をしている声をよく聞いていたからだそう。
でも何から始めていいのか、右も左もわからない。
そんなタイミングでの谷中さんとの出会いは、長期インターンの入り口となった。
初めてINTERN BASE掲載のインタビュー記事を読んだ時、冨岡さんは衝撃を受けたという。
「びっくりしました。世界ってこんなにも広いんだなと。特に「地域おこしの記事」はすごかった。世の中にはこんなにも行動力のある学生がいて、この歳でしっかり大人と対等に働けるんだと、大きな憧れの気持ちが湧きました。」
その後、谷中さんの誘いがあり、INTERN BASEのメンバーとして活動することになったという。ここでも冨岡さんは、すぐに「やりたいです!」と答えた。
ここで、ふと疑問に思う。
冨岡さんは、なぜこんなにすぐに「やります!」と言えるのだろう。
彼女の中に不安はないのだろうか。
何が彼女を突き動かすのか、どうしても知りたくなった。
すると冨岡さんは、少し考えながらこう答えた。
「中学生の時だったかな。学校の講演会に中村文昭さんが来てくださったんですが、その時言われた『頼まれごとは、試されごと』という言葉が、今もずっと頭にあるんです。」
「そこからは、『お誘い(頼まれごと)』をされると、舞い降りてきたチャンスだって感じるようになったんです。これが達成できれば、自分の経験値がまたひとつあがる。自分の実力やスキルが、レベルアップするチャンスだ、と思うように。だからそういった『お誘い』にはすごく魅力を感じるし、好奇心でいっぱいになるんです。」
冨岡さんの揺るがぬマインドとなった中村さんの言葉。
その言葉が、彼女の「不安」を「未来の自分へのチャンス」へと変えているのだとわかった。
逆オファーで出会った長期インターン先
INTERN BASEと関わり始めたことにより、長期インターンの情報が多く入るようになったという。まずは「キャリアバイト」の存在を教えてもらい、すぐに登録・応募を始めた。
「キャリアバイト」とは、キャリアにつながるアルバイトや、長期インターンを探すことができる求人メディア。自分から応募することはもちろん、学生側の自己PRやプロフィール文をみて、企業側から逆オファー(スカウト)することもできる。
「PR文には、とにかくたくさんの事を書いていましたね。」
・好奇心旺盛
・トレンドが大好き
・学生だけど、スキマ時間だけでなくがっつりと働ける
・SNSを熟知していて、個人的にも深く活用している
・学生委員会での動画作成などの経験
上記はほんの一部だが、「自分の強み」や「好きなこと」を生かす仕事をするためには、いかにPRを充実させるかが重要だ。そのためには、十分に自分を知らなければならない。
自分のやってきたこと、好きなこと、得意分野、やってみたい分野など、ここまでの自分の人生をめいっぱい自慢してほしいと思う。
冨岡さんは、まさに企業から逆オファーを受けた。
仕事内容をみると、ちょうど興味をもっていた「SNS関連」の仕事であったので、とても嬉しかったという。会社HPなど事前情報を確認し、快諾した。
長期インターンで気付いた、自分の「心が燃える瞬間」
長期インターン先に選んだのは「株式会社SEKAISHA」。
「教育事業」と「CVC事業」をおこなう会社である。
冨岡さんが担当したのは「SNSに関する業務」。具体的には、CVC事業で扱っていた美容クリニックのSNSアカウントにて、主にコンテンツ(投稿の中身)を作る業務を任されていた。
「コンテンツを作る」といっても、作っただけでは終わらない。
作ったあとは、投稿別にPV数やいいね数などをデータ化して分析。 その時期の店舗売り上げと比較して、打ち合わせを重ねてブラッシュアップしていく。こうして最良のコンテンツに仕上げていくのだ。
画面越しではあるが、話を聞きながら、ここ一番の熱量が伝わってくる。
よほど情熱を注ぎ、楽しんでこの案件に取り組んでいたのだろう。
「記事の色合いやフォントなど、お店のイメージカラーと合うのかどうか。社員さんと打ち合わせをしながら、日々検証していました。分析結果によっては、ターゲットを変えたり絞ったりもしたので、ガラッと記事のテイストを変えていくことも。そういう、結果がでるまで試行錯誤していく時間が、すごく楽しいんです。」
この長期インターンの経験の中で冨岡さんは、自分が「なにかを創り出すために、試行錯誤している時間」が好きであることに気付いた。
「『私はクリエイティブな仕事がしたいんだ』って思ったんです。なにかを生み出す時間が楽しくて。」
長期インターンを経て、就活への「軸」がみえてきたのだ。
確かに、過去の彼女を振り返ると、彼女は一貫してクリエイティブなことを楽しんできたように思う。
キッズモデルの経験では、クリエイティブの基礎となるセンスを磨き、
中学では、生徒会長としてイベントを企画し、
高校では、ダンス部の副部長として一から振り付けを作り、
大学の学生委員会では、様々なイベントの主催に携わった。
そして長期インターンでは、目にみえる数字にたどり着くために、あらゆる方法を考えてコンテンツを作り上げてきたのだ。
冨岡さんのこれまでの人生でのひとつひとつの経験が、筆者には全てつながって見えた。
不安な気持ちをひとりで抱えず、誰かに投げてみよう
最後に、就活に不安がある学生や、長期インターンに少しでも興味がわいた学生にむけて、メッセージを頂いた。
「不安な気持ちを、とにかく色々な人に伝えてみるといいとおもいます。会話のなかで、ちょっと話題に出してみるだけでもいいんです。私もタニタさんに話したことで、INTERN BASEに出会い、長期インターン先に出会えました。」
「話すことによって、自分の心に余裕ができるし、もしかするとそこから何かに発展するかもしれません。誰かが何かの分野に精通していて、きっかけを与えてくれるかもしれないんです。チャンスはどこに転がっているかわかりません。」
人に話してみることで、何かが変わるかもしれない。
これは、実際に冨岡さんが人生において実感してきた、絶大な効果のある「不安脱却法」だ。
誰かに不安や悩みを打ち明け、聞いてもらうだけでもいい。
そして、もしもそこで「頼まれごと」のチャンスがきたら、ぜひキャッチしてみよう。
きっとあなたにとって、大事な経験値になることだろう。