人事

金田和大×株式会社Unpacked【長期インターン体験談】

今回お話を伺ったのは専修大学の経済学部の2年生に在籍しながら、株式会社Unpackedの人事部で長期インターンをしている金田和大(まさと)さん。

第一印象はさっぱりと清潔感があり、大学生とは思えない快活さ。

趣味はブランドの服やスニーカー収集、HIPHOPを聞くなど今時の大学生といった感じだが、実はコアな趣味も持ちオタクな一面も持ち合わせている。

ハツラツと話す彼の自信の源はAO入試での失敗、インターン先での大型イベントでの失敗を自分の努力で乗り越えてきたこと。

現在は学生生活よりもインターンに重きを置き、チャレンジングな生活を送っている彼に、これまでの過程、そしてこれからの展望を聞いた。

Unpackedは中高生への教育支援を行い課外活動促進、数値化できない学生の能力を支援する企業だ。

金田さんはインターンとして会社にジョインしたが、現在はその枠を超えてコアメンバーとして人材育成プログラム「U18 DRAFT」を立ち上げ、そこから実際に50人ほどの学生と向き合い、彼らのレベルアップを支援してきた。

そんな金田さんは、いったいどんな人生を歩んできたのだろうか。

学生時代に射撃部だった父親の影響で、物心ついた頃からミリタリー系に興味を持っていた。

海外に行けば実弾での射撃に挑戦し、

好きが高じ、サバゲーフィールドを運営する企業でミリタリー系の記事の執筆や、今年から予備自衛官補の訓練にも挑戦するなど意欲的な毎日を送っている。

予備自衛官補とは、平時は民間人だが、有事の際は国の為に働く存在だ。もちろん訓練もあり、任意の日程ではあるが50日間の長丁場の挑戦になる。

なぜ今、あえて厳しい環境に飛び込むことにしたのか?と聞いてみると「元々の趣味が高じたのはもちろん、自衛隊という組織を理解したかった。理解することでまた別の角度からの興味も湧いてくるのかな、と思った。19年の人生でこんなにも長い期間、自衛隊や銃が好きなのであれば、人生の中で絶対に一度は軍務についてみたいと思っていた。」

という金田さん。

一度ハマると突き詰めるオタク気質な性格、そして「いつか」を「いつか」で済まさない、行動力の塊だ。

北京での生活と荒れた中学時代

幼少期は父親の仕事の都合で幼稚園の年長から小学校卒業までを中国、北京で過ごす。

日本人学校でのびのびと生活しながらも、時に起こる尖閣諸島を巡る日本大使館へのデモで、身近に身の危険を感じることもあり、そんな時でも頼もしい父親を中心に、家族の絆が深まった時期だったと金田さんは振り返る。

中学校は中学受験をし、帰国子女生の多い中高一貫校へ。帰国子女生が多い環境であっても、「子供が一人で外を歩けるんだ…」「小学生が一人電車に乗れるんだ…」などのカルチャーショックで日本での日常に馴染むのに少し時間がかかった。

また、自分の意見を言いすぎたり、積極性が強すぎてしまったりすることでうまく馴染めず、フラストレーションも抱えがちに。

五者面談

「自分でも悪い時期を過ごしたと思います。」

環境の変化に加え、1年生での友人との喧嘩を機に悪い友人ともつるむようになり2年生では学校で窓ガラスを割り、鉄球を投げ、物を壊し、人が嫌がることをわざとやった。

「友達もいないし、もうどうなってもいい。」

と投げやりで乱暴な日々を過ごし、とうとう五者面談が組まれることになった。

担任、学年主任、校長のずらっと並んだ教師陣に頭を下げたのは、自分に趣味を与えてくれて、教えてくれて、北京では家族を守ってくれた尊敬している父親だった。

それを目の当たりにした瞬間に、「このままではダメだ」「変わらなきゃいけないな」と気付き、これをきっかけに変わろうと努力した。

その後は3年生〜高校1年生にかけて勉強に力を入れ成績を伸ばしていった。

部活動には入らなかった分、思う存分遊んだ高校時代。

大学入試もただ流されて受験勉強するのではなく、自分に合った入試について考えた。

「好きなことを突き詰めて楽しいことだけしかやって来なかったから、勉強を突き詰めて受験する形式は確実に自分に合わないだろう。」と自己分析し、AO入試に挑戦することに…

AO入試専門塾にも通い、満を持して挑んだAO入試。

しかし受けても受けても受からない。(後に内申書のトラブルだったということが判明)

5校連続で落ちたところで、塾の講師とZOOMで面談することになった。

その面談に現れたのが、後のUnpackedの小嶋社長。自信を無くし「もうAO入試辞める…塾も辞める…」と嘆く金田さんに、「いやもったいないよ、なんで辞めちゃうの」「君はAO入試に向いてるよ」と寄り添い、励ましてくれた。

受験が終わり羽根を伸ばしていると、「U18キャリアサミットのコアメンバーをやってみないか?」とUnpackedから声がかかり、二つ返事でOKした。

コミュニティ運営は初めての経験だったが、周囲の協力もあり、イベントは大盛況に終わる。自分に自信もつき、更には本格的に一緒にやろうと小嶋社長にインターン生として引き抜かれた。

大学合格、インターン先の決定、順風満帆だった。コロナ禍ではあったが新生活の幕開けに胸が高鳴った。

しかし、現実は甘くはなかった。

本格的にUnpackedにジョイン!しかし…

大学に入学し、新生活が始まった。

コロナ2年目、少しずつ規制が緩くなる中で送る学生生活。正直、「こんなものか」と思ったと金田さんは振り返る。大学にいることに違和感を覚える日々だったが、反対にUnpackedでは、大学では得られない経験や価値観を教えてもらえる。

金田さんはどんどんインターンに生きがいを見出し始めるが21年の7月、大きな挫折を味わった。初めて任されたイベントでは前回のU18キャリアサミットでの成功体験もあり、意気揚々と舵をとるが、結果は惨敗。中間目標、最終目標も達成できず、集客も少なく、進行もグダグダでイベントは終了。自分を過信しすぎた結果だった。

「調子に乗っていました。大学に入っても、周りの学生は結局皆仕事もしてないし、大学生なんてだめじゃんって。自分はキャリアサミットのコアメンバーもやったし、そこから本社にも引っ張られたしって…自分の力を信じていたけど、実際は違いました。それまで前回のキャリアサミットも自分の力で成功させたと思っていたけど、周囲の協力あってこそだったことにも気付かされました。」

懇意にしてくれていた人たちを失望させてしまった。

不甲斐なさを感じる中で、挽回のために人事部としての目標を立てた。

「大規模イベントを仕切ることができるPMをあと3人作る」そして「この目標を年内に達成できなければ、自分からこの会社を辞めます。」と宣言した。

自分が変われば周囲も変わる

社長には大きく出てしまったが、実際にはまだ大学1年生。実力不足は明白で、知識も足りない中でもがきながら金田さんは3つの事を心がけ、実行していく。

一つ目は、謙虚な姿勢。

とにかく腰を低くした。今までの会話のスタンスは「自分は自分の力でやってやったぜ、こんなことやってすごいでしょ!」だったが、「これしかできないんですけど、どうですか?」という謙虚な姿勢に変えたら、周囲の反応も変わってきた。

二つ目は、自分から掴みに行く姿勢。

質問される側にとってストレスのないコミュニケーションを心がけた。謙虚な姿勢でわからないことや、相談事を素直にどんどん質問したが、その際抽象的な表現は避け「自分なりに調べてこのように実行しようと思いますが、いいですか?ダメならアドバイスを下さい。」と伝えた。

そうすることでコミュニケーションが円滑になり、意思決定のスピードも速くなり、業務の効率化に繋がった。今までは「わからないです。」で終わっていたことでも、自分で調べ、周りからのヒントで得た知識を自分に落とし込んで実装していき、本当にそれが効果的かどうか、より見識のある人に聞いていく。という能動的なスタンスで確立していった。

三つ目は学ぶ姿勢。

U18キャリアサミットが特段勉強しなくてもうまくいったことで、「勉強すること」から足が遠のき、その結果イベントが失敗に終わった。自分から知識を得にいくことの大切さを知ると同時に「何歳になっても勉強しない理由はない。」と気づいたという金田さん。「だってアメリカの大統領も、世界的企業の創業者も、常に勉強し続けて新しいことを考えているでしょ?彼らが勉強していて、自分が勉強しなくていい理由なんてないなって。」

そう気づいてからは読書量が増え、Youtubeの動画も見漁った。

金田さんの能動的な姿勢を見て、周囲にも変化があった。

「最近頑張っているよね」と声をかけられ、徐々に認められている実感が沸き、モチベーションが高まった。また勉強を続けたことで、日常会話の中からも学びを得ることができるようになった。「元々の能力が高い人の中にいるので、自分に知識があれば、普通に話していたり、LINEをしたりしている中でも仕事のヒントを得ることができました。」

アンテナを高くはることで、吸収する情報量がぐんっと上がり、

これを実感し出す頃には、社長に提示した目標も達成。Unpackedでの首も繋がった。

現在では人材育成プログラムを受講した学生がUnpackedに入社し、PMとしてイベントを仕切るようになった。現在、金田さんは学生たちの後ろで、イベント運営、コミュニティ運営のやり方をコンサルするいわば縁の下の力持ちの立場にいる。自分で考え、工夫し、行動し続けることで、どんどん世界を広げていく金田さんが後輩に伝えたいことは…

大変な時は大きく変わる時

第一志望に落ち、大学に馴染めず、社会にインターンという形で飛び出した金田さん。

様々なことに挑戦し、壁にぶち当たった時にいつも胸に留めていた言葉がある。

「大変な時は人が大きく変わる時」

この言葉は金田さんが受験生の頃、建設会社の奥村組のテレビCMで知った。(https://youtu.be/dd-tf0Rwgfg

「大変って言葉は、大きく変わるって書くんですよ。これを聞いた時、『うわこれめっちゃ大切なことだな』って。」それ以降、自分がすごく苦しい時や大変な時は、「うわこれ怒られる…」「どうしよう…」と思いながらも、「自分って今大きく変わってるんだな」と自分を客観視し、長期的なスパンで物事を見ることで自分を鼓舞している。

Stand out fit in

「置かれた場所で咲きなさい」

こんな言葉がある。

確かに自分に与えられた環境で、精一杯頑張ってみる、成果を残せるまでやってみる。ということは、謙虚でとても大切なことだ。ただ実際のところ、現在の学生はコロナ禍による外出制限などもあり、置かれた場所に対し自分では居心地が悪く感じている人もいるだろう。

変化を求めているのに、どう変わったらいいのかわからない、

全く知らない環境に挑戦しに飛び込むことは怖いと思っている人もいるかもしれない。

そのような後輩たちに金田さんが伝えたいのは

「stand out fit in(はみ出して馴染め)」

実際に、金田さん自身も大学では周りからはみ出ていた。ただ、そこで卑屈にならず、持ち前の行動力で、インターンや予備自衛官など興味のあることに挑戦し続けた。

「自分が環境にはみ出していると思うのであれば馴染む必要はなく、突き進むべき」

と金田さんは言う。

ある意味守られた学生という立場だからこそ、大学に籍を置きながら、ピボットするように様々なことに挑戦し、突き進んでみる。そうすることで自分の世界はひらけてくると、金田さんは体現している。