家族、友人関係、勉強…
高校生だった頃の自分を思い出すと、
学校という枠に収められ、学校が自分の世界の全てだった人も少なくないだろう。
その中で自分の意思だけではどうにもならない閉塞感を覚えていた人も多いのではないだろうか。
今日紹介するのは、通信制の高校に通いながらも、
教員になるという夢を持ち、学校という枠から飛び出した高校生だ。
インターンやボランティア、資格取得やアルバイトなど精力的に活動し、
自分で将来を切り開こうと奮闘する日々を聞いた。
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捨てられない母
四国の香川県高松市内から、少し離れたところで生まれた。
幼少期から激しい人見知りで、友達とも馴染めず1人で砂遊びをすることが好きな子供だった。
今でもこの性格は変わらず、親友と呼べる子以外とはなかなか遊べないという。
家庭では、常識的で優しい父とは反対に
独善的で自分の非を認めない母親。
「なんか変じゃない?」
と母親に感じ始めたのは幼稚園の時。
本来なら母親に対して全幅の信頼を置く時期だが、
友梨華さんは子供心に母親への違和感を拭えなかった。
友梨華さんや弟さんが成長するにつれて、片付けや掃除などの家事をしなくなる母親。
耐えかねた家族が掃除をしようとすると、
「私物があるから片付けないで」と拒まれていた。
床に散乱する古い書類ですら捨てさせてもらえず、雑然としたままの家の中で、
母親との確執は深まっていった。
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反比例して父親との信頼関係は深まり、後に二人で暮らした時期もあったほどだ。
中学に上がるとソフトボール部での活発な一面と、読書好きという相反する一面を持つようになる。
読書が好きになったきっかけは中学2年生の時。
クラスに馴染めず浮いてしまった時期があった。
教室に居づらく、1人でいても不自然じゃない場所に足が向くようになり図書室で居場所を見つけた。
小説にはまり、重松清を読み漁った。
教員を志したのは中学3年生の時。
担任の先生が公私共に相談に乗ってくれたことがきっかけだ。
幼少期から母親に抱いていた不信感拗らせてしまった友人関係など、
思春期特有の悩みが尽きない中で、週に1回、30分程2人で話す時間を作ってくれた。
世間話だけの時もあったが、
誰にも言えないような心の内を吐き出せる存在に救われたことから、
自分も生徒を助けられる教員になりたいと思った。
この時の担任の先生は、新卒で教員ではなく、
日本語教師を経て、中学校の教員になったというユニークな経歴の持ち主だった。
その為、見識が広く考え方に偏りがない。
「自分も先生のような、広い視点を持てる教員になりたい。」
高校生のうちからインターンに挑戦しようと考えたのも、
大学卒業後すぐに教員になる前に社会を知りたいという思いからだ。
オンラインでの繋がり
中学卒業後は誰も知らない環境で生活を始めようと、
地元から離れ、小豆島の寮のある高校へ進学した。
写真部に入り、授業では英語の楽しさに目覚めた。
勉強量に比例して成績が上がり、成長を実感できたことで英語が好きになり、
英語の中学の教員になろうと将来を定めた。
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しかし2年生の春、友人関係のトラブルで退寮することに…
その後は高松市内に父親と二人暮らしをして、
船で1時間以上かけて通学した。
その頃から学校という限られた人としか関わらないコミュニティに
窮屈さを覚えるようになり、
「学校だけじゃ物足りない、もっと外の世界を知りたい。」
という気持ちが芽生え始めた。
1年前はまだコロナ禍でもあり、更に地方の高校生という立場では
実際に今あるコミュニティの外に出て見識や交友関係を広げるのは難しい。
更に友梨華さんは人見知りだ。
限られたリソースの中で、しっくりきたのがオンラインでの活動だ。
地方にいたとしても、世界中の情報や人に繋がれるSNSは、友梨華さんにはもってこいのツールだった。
まずインスタグラムで勉強専用のアカウントを作り、オンラインでの交友関係を広げていった。
ある時インスタグラムのストーリーで
Teen Worker(https://teenworker.net/)という企業のボランティアの募集が流れてきた。
Teen Workerとは大学生が起業して作った企業である。
・若い世代が積極的に社会に出ることの重要性
・ビジネスを通じて”個”の力を伸ばすことの必要性
という理念をもとに
インターン・イベント情報掲載
中高生のキャリア支援
コミュニティ形成
の3つの事業を運営している。
早く社会に出たいと考えていた友梨華さんは理念に共感し、自らDMを送り応募し学校以外のコミュニティに自ら飛び込んだ。
Teen WorkerではSNSの運用など、学校にいるだけでは経験できない「仕事」に挑戦した。
学校以外のコミュニティができ充実した日々を過ごしていたが
長距離通学が思った以上に負担になったことや、
友人関係のトラブルで、2年生の12月で高校を退学することに…
現在は高松市内で一人暮らしをしながら通信制の高校に通い、教員になるべく大学受験を目指している。
目標があるということ
友人関係のトラブルが続く中で、
学校という場所から足が遠のいてしまうこともあるだろう。
実際オンライン上のコミュニティが充実すればするほど、現実の社会との関わりはおざなりになりがちだ。
「学校を辞める」という人生の帰路に立った時、
周囲の人や環境のせいにして、楽な方に流れることは簡単だ。
それでも「学校」という場所を諦めなかったのは、「教員になる」という目標があったから。
教員になる為には大学進学は必須だ。
その目標を叶えるために、通信制の高校で勉強を続けることを選んだ。
そしてその目標が次なる挑戦に友梨華さんを向かわせる。
co-ba takamatsuとの出会い
小豆島の高校を退学し、一人暮らしをする日々で
「英語の教員になる」という目標に向けて、
大学進学以外に、今の自分に何かできることはないかと模索し始めた。
ネットの中だけの繋がりから、よりリアルな繋がりを求めて
高松でオフラインでの英語のイベントがないか探し、co-ba takamatsuの「English Ball」を見つけた。
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co-ba takamatsuは(https://co-ba.net/takamatsu/#concept)高松市内にあり、コワーキングスペースであると同時に、
英語やヨガなどのさまざまなイベントも開催され、
「心地いいのに、刺激的。自分らしく「やりたい」を叶える場所。」
をコンセプトに運営されている。
社会人も参加するようなイベントに一人で参加することに
「人見知りも相まって、初めはものすごく緊張しました。」という。
イベントに初めて参加した日は、挨拶もろくにできなかったが、
コミュニティマネージャーが優しく友梨華さんを受け入れてくれた。
そこから段々と他のイベントにも参加するように…
交流会などにも参加するうちに
「ここってすごくいいところだな」と感じるようになった。
学校で疎外感を感じていた友梨華さんにはとても心地よく、
新たな居場所を見つけたような気持ちだった。
あるときの交流会でインターンの募集を見つけた。
「早いうちに社会に出たい、視野を広げたい」と思っていた友梨華さんは
すぐさま高校生でも大丈夫か問い合わせ、選考を受け今年の3月から試用期間が始まった。
自分の弱みから逃げない
co-ba takamatsuでは空いている時間にシフトを入れるスタイルをとっている。
友梨華さんは
通信制の高校、
Teen Workerでのボランティア、
うどん屋さんでのアルバイト、
co-ba takamats
という4つの柱を持っているため、出勤は週1〜多くて週2程度。
1回に3、4時間程度だ。
業務内容はSNS(ツイッター、インスタ、F B)の運用、
施設内にあるインフォメーションボードへの掲示物の作成、
イベントカレンダー作成など、幅広い裏方業務の傍ら、
実際にイベントに運営側として参加して、イベントレポートの作成などもしている。
「もっと楽かと思ったけど、大変だった。」
というのが正直な感想だ。
そもそもの出勤できる時間が少ない為、限られた時間の中で効率よく作業が進められない。
SNSの投稿内容を作るため、画像を制作するが初めてのこともあり不得手だと感じることも…
もっとできる、役に立てると思っていた分、自分の不甲斐なさに落ち込む日々だった。
そんな中でも友梨華さんがインターンを続ける理由は
学校だけではできない経験ができるからだ。
学校だと一定の友人としか関わりを持たないが、
co-ba takamatsuにいれば初対面の人達とたくさん話す機会がある。
しかも相手は社会人ばかりだ。
自分の世界がどんどん開けていく感覚があった。
「学校だけじゃ物足りない、もっと外の世界を知りたい。」
と思っていた友梨華さんにとっては、もってこいの居場所だった。
今まで自分がいたオンライン上のコミュニティでは、
どんなに仲良くなっても、ビデオ通話をしても、目の前に人がいることはない。
ところがco-ba takamatsuには毎日お客様来店する。
そして「アットホームな雰囲気」をコンセプトとしている為、
心地よいとされる空間を作っていくこともインターンの仕事だ。
元来の人見知りもあり、最初はリアルで初めて会う人達に
「いらっしゃいませ、こんにちは」とに挨拶することすら恥ずかしかった。
うどん屋さんでのアルバイトで何度となく言ってきたはずなのに、
そこから雑談が続いてしまったらどうしよう、なんて切り替えそう…
と思うと、戸惑いが先に来てしまい話しかけられない。
しかし「ここで役に立てるようになろう」と自分を変える努力をした。
場数を踏む中で克服し、現在は少しずつ会話に入っていけるようになった。
お客様との会話が増える中でも大切にしているのは
「高校生であっても社会人として当たり前のことはきっちりと。」
ということだ。
インターンとして社会人の中に入り働いていく中で、
「結局高校生だしな…」
と思われないように、目上の方には敬語を必ず使うようにしている。
社会人からしたらそんなことは当然のことのように思えるかもしれないが、
自分が高校生の時のことを思い出して欲しい。
仲良くなった先生にタメ語で話しかけていなかっただろうか?
友梨華さんは当たり前のことを、きっちりとこなし、スモールステップを積み重ねることで
周りからの信用を積み重ねたいと考えている。
行動すること
今後はインターン先では「イベントを企画したい」と考えている友梨華さん。
どんなイベントをしたいかと聞いてみるとはっきりと
「中学生の時、読書に救われたから本に関係するイベントがいいです。例えば読書会とか…」
という答えが返ってきた。
常日頃から自分に何ができるのか、次はどんなことをしたいのか考えているからこそだ。
そんな友梨華さんにとってはco-ba takamatsuのインターン生の成長を見守り、
やりたことを受け止め、チャレンジする機会を与えてくれる環境はピッタリだ。
もし後輩たちに何か一言声をかけるとしたら?と聞いてみた。
「とりあえず興味を持ったら行動してみることかな。」という。
友梨華さん自身も現在に至るまで、様々なトライ&エラーを繰り返してきた。
エラーが起こるたびに傷つきながらも、決して自分で自分を諦めず、次の一歩を見出してきた。
一回で正解が見つかるかはわからないが、
とにかく興味があることへの応募からはじめてみてほしい。
自分から行動することで自ずと道は開け、自分の居場所もできるのではないか?
と自身の経験から感じている。
これからも興味の向くことにどんどん挑戦していくことで
学校の枠には収まりきらなかった友梨華さんの行動力は、
より広い世界でこれから羽ばたいていくのだろう。