ライター

西家 由真×NEW STANDARD 株式会社【長期インターン体験談】

「あれ、私、本当に自分のやりたいことやってきたのかな、と思って。それで休学を決意しました。」

どこかすっきりとした表情で話す、西家由真(にしいえ ゆま)さん。

静岡にある、静岡文化芸術大学に通う大学4年生だ。

高校で経験したオーストラリア留学、コロナと共にスタートした大学生活、自分を知るための休学、長期インターンへの挑戦、そしてモデル活動。

これまでの経験を踏まえて、今、何を考え、どこを見ているのか。
多種多様な経験の背景にある、彼女の思いや意思について話を聞いた。

由真は由真のままでいい。「らしくあることベース」で育った幼少期。

富士山のふもとで、二人姉妹の妹として生まれる。

やりたいことはなんでもやらせる、そんな両親の方針のもとで育ったという。
生まれつきの好奇心旺盛な性格も手伝い、空手やクラシックバレエ、ヒップホップ、日本舞踊など多くの習い事を経験。

「とにかく”普通”が嫌で、”自分らしくいたい”が根底にありました。当時、英語の勉強も好きだったので、高校は国際科に進学しました。」

天邪鬼だったのもあると思うんですけどね、と少し照れて話す由真さん。
彼女のこの思いは一体どこからきているのだろうか。

「おじいちゃんが農家だったんですが、跡取り欲しさに『男が良かった』と小さい頃おじいちゃんからよく言われてました。」

祖父の期待とは裏腹に、姉が生まれ、次いで、妹の由真さんが生まれた。

「でもこれに対してお母さんが『由真は由真のままでいんだよ』と目の前で言い続けてくれたんです。だから、自分らしくいていいんだ、と思えたのかな。」

留学でオーストラリアの端っこへ。そこでみた景色とは。


オーストラリア最北端の町、ダーウィン。
オーストラリアの中でも移民や先住民族が多く住む町だという。ここで由真さんは、高校の一年間を過ごした。

「戦時中に日本から攻撃を受けていた地域でもあるので、日本人に対するローカルヘイトも多かったです。教科書で学んだことと実際に現地でみる景色が全然違って、衝撃でした。語学として英語が話せること以上に、相手やトピックについてちゃんと知っていないと話せないんだな、とも気づきました。」

しんどかったけれど、それ以上に良い出会いに恵まれ、今の由真さんの価値観を形作る経験にもなったという。

とにかく必死だった受験生時代

オーストラリア留学から帰国した当時、彼女はどんな心境だったのだろうか。

「好きな生き方すればいいと思ってました。別に大学も行かなくてもいいかなーって。受験において大事な高校2年生の時期を海外で過ごしたので勉強も大変で。」

そんな折に、とある大学教授が出張授業に来たという。

「正直、内容はあんまり覚えていないんですが…(笑)」と前置き、こう続ける。

「とにかく聞き手に向き合うスタイルの授業で、『この大学の授業は面白いかも?』と思えたんです。」

これが、のちに彼女が通う大学との出会いであった。
「この大学であれば英語重点型推薦入試という試験枠があることを知って、猛勉強しました。ALTに小論チェックや会話練習に付き合ってもらって、TOEICもとって、1日10時間くらい勉強してましたね。」

目標に向かって、追い込む。その過程で新たな発見もあったそう。

「留学中に現地で体得した英語を体系的に学び直したり、現地で見た問題を受験勉強を通じて学び直したりして、知識になっていく実感がありました。ここで勉強したことが、今の大学での授業にも繋がっているなと思います。」

コロナ禍だからこそできたこと

見事、大学受験に合格。晴れて爽快に大学生活のスタートを切る、はずであった。

「コロナ真っ只中の時期に入学で、入学式も授業も全部オンラインでした。頑張って勉強して入ったのに、なんだこれ?って思いましたね。」

この状況をどのように乗り越えたのだろうか。

「悔しかったので、オンラインでも何かできないかな?と思ってめちゃくちゃネットサーフィンしてました。オンラインで受けられるワークショップとかに参加して、繋がりも増えたので、今は自分の知的好奇心をストックする時期だ、とマインドセットを変えて乗りきりました。」

立ち止まって考える。本当に私がやりたいことってなんだっけ。

当時を振り返り、続けてこう話す。

「コロナも少しずつ落ち着いてきて、自分なりにプロジェクトを実行して、勉強も頑張ってて、個人でモデルの活動もしていて…いわゆる活動的な学生だったと思います。」

ただ、ここで彼女はある違和感を覚えたという。

「就活用のガクチカを書くときも、『いろんなプロジェクトやってきたけど、自分が本当にやりたいことやってたのかな。ただ、周りの友人や大人の期待に応えるためだけにやってきただけなのかも。』とおもって。企業に評価されるためだけの材料としてこれまでの活動を書くのは、なんか気持ち悪くて。」

「なんでもできる、活動的な理想の由真ちゃん」から卒業したい。

一度立ち止まって、そして、自分の本当に好きなことを思いっきりやりたい。

その想いで、休学を決意。

親にも最初こそ心配されたが、最終的には由真さんの意志を尊重してくれた。

初めてのインターンシップへ挑戦

さて、休学を決めたけど何をしよう。

そう思考を巡らしていたタイミングで、とある募集を目にする。

「12月ごろに、Greenpeace Japanという環境系の非営利団体のインターン募集を見つけて。確か、公式LINEかなにかでそのお知らせを見た気がします。当時、環境に興味があったのでそのまま応募し、1月には採用が決まってすぐに働き始めました。」

週3、1日7時間。イベントなどがあれば出社するが、基本的には静岡からのフルリモートだったそう。

やっぱり、私は発信が好きだ

Greenpeace Japanのインターンで最初に配属されたのは、政策提言部門。

C7と呼ばれる、G7の市民向けイベントの運営や政府への政策提言、それに伴う分析やリサーチなどを行う。半年ほど経験したのちに、もっと身近な人々に発信していきたい、という思いから、自らの意思でコンテンツチームへ異動。
サポーターと団体をつなげるためのデジタルストラテジーのリサーチや企画の補助、SNS投稿のコンテンツ、グラフィック制作などを担当した。

「実際にやってみて、自分にはこっちだ!って思いました。デザインも、発信することも、好きだな、と。趣味レベルだったデザイン力やデザインツールの使いこなしも、業務としてやっていくことでレベルアップできた実感もありました。」


インターンを経験し得られた、確かな成長の手応え。
しかし、インターンを通じてこんな気持ちも湧き上がるようになったという。

「やっぱりNGOでは元々関心がある層以外に届けるのが難しくて。もっと身近な人に、環境も、環境以外のことも、届けたいと思うようになりました。」

ここで学べること・やれることをやりきった。
そう考え、次の新しいチャレンジを模索し始めた。

自らの意思で、次なる挑戦へ。

発信するスキルは磨き続けたい。 
しかし、別の環境で、別の人たちに会いたい、届けたい。

そう考えていたタイミングで、自分が読んでいたウェブメディア「TABI LABO」を運営する、NEW STANDARD 株式会社でインターンの募集を発見。迷わず応募を決めた。

「Greenpeace Japanでのインターンシップとも3ヶ月ですが被ってて、このタイミングで復学も重なったので、しんどかったです。」

Greenpeace Japanに週2日、NEW STANDARDで週3日、週1日大学、週末はモデルの活動が3ヶ月続いた。

「本当にやりたいことができている」という実感。

現在、由真さんはNEW STANDARDでライター兼リサーチャーとして働いている。

掲載する記事の執筆、企画やリサーチ、SNS発信など業務は多岐に渡るが、一貫して「発信する」ということに軸足をおいて業務をしている。


「現在の職場でも基本的にフルリモートで働いています。イベントがある時やモデルの仕事のついでに出社したりも。なんだかんだで月1~2くらいで出社してますね。」

フルリモートの働き方に、孤独感はないのだろうか。

「居心地いいんですよね。リモートなのに、距離を感じない。オンラインのコミュニケーションもみんな上手で、日報を共有したときにリアクションしてくれたり、わからないことも互いに教えあったりしてます。メンバーの特徴としては、自分の『好き』をちゃんと大事にしている人が多いですね。」

現在は、9:00から18:00のフルタイム勤務で、週4日程度で業務をしているという。
社会人とそう変わらない働きぶりに驚かされるが、彼女はにこにこしながらこう答えてくれた。

「大変だけど慣れましたね。結局、全部好きなことなので頑張れてます。あとは、だんだんと力の抜き方のポイントがわかるようになってきたのも大きいです」

インターンを通じて、等身大の自分を知る。

2社でのインターンを経験した由真さん。
改めて、インターン前と今でどんな変化があったのだろうか。

「より自分に自信がつきました。でも、いい意味で自分の能力に過信することもなくなって、やりたいとこ・やりたくないことを、一緒に働く大人たちからも学んで、自分理解がかなり深まったと思います。俯瞰する力、みたいなものかな。」

そんな由真さんの将来の夢、それは「自分がメディアみたくなること」という。

何をいうかも大事だけど、誰が言うかも大事。
メディアで働くからこそ、その重要性を痛感することが多々あった。
だからこそ、自分自身の肩書きも大事にしているそう。

続けて、具体的に叶えたい夢の1つを教えてくれた。

「いつかは、自分の出身校で出張授業をしたいなと思ってます。」

力強く答える彼女をみて、叶う日はそう遠くないような予感がする。

自分と社会を知るための手段としてのインターン

最後に、インターンを考えている学生に向けて伝えたいことを伺った。

「自分を知るためにやってみたらいいと思います。(インターンをするという選択自体に)そこまで慎重にならなくてもいいと思う。もしかしたらブラックな会社とかもあるかもしれないけど、そういったのも含めていい経験になるし、社会ってどんな感じか?自分が社会の中で何ができるのか?を知れると思います。」

自分の本当にやりたいことに従って、思いっきり取り組む。

やりたいことがわからなければ、やりたいことを見つけるために、まずは一歩目を踏み出してみる。

たびたび歩みを止め、自身を振り返り、次の一歩を選んできた由真さんらしい言葉に思え、腑に落ちる。

これを読むあなたも、ぜひ自身で一歩踏み出してほしい。気をつけて、だけど恐れずに。